特別徴収税額決定通知書の見方|退職時の住民税はここで確認する
特別徴収税額決定通知書が手元にあっても、どの欄が自分の住民税額なのかは、ひと目では分かりません。 欄の名前も数字の意味も自治体によって違うので、他の人の説明がそのまま当てはまらないこともあります。
この記事では、どの欄を見れば住民税の年税額が分かるのかを、3つの市の公式資料から確認します。 一括徴収の正確な額も、この通知書で確認することになります。
この記事で分かること
- 通知書には「特別徴収税額」という欄があり、これがあなたの住民税の年税額(所得割額+均等割額の合計)にあたります(確認できた3市の一次情報より)
- 毎月の天引き額(月割額)を確認できる欄もありますが、欄の名前も数字の意味も自治体によって違います(確認できた3市の一次情報より)
- 「一括徴収」という言葉そのものは、今回確認した3市の資料のどこにも見当たりませんでした
- 「特別徴収税額」と「差引納付額」の意味が分かれば、正確な一括徴収額を勤務先や自治体の窓口で確認しやすくなります(当サイトの側で金額を計算して示すことはしません)
特別徴収税額決定通知書とは、どんな書類か
特別徴収税額決定通知書は、あなたの住民税額を勤務先に知らせるために、市区町村が発行する書類です。勤務先を経由して、本人にも渡されるのが一般的です。
この通知書には、実は2種類あります。勤務先(特別徴収義務者)向けのものと、従業員本人(納税義務者。=あなた)向けのものです。 今回確認したのは、後者の「納税義務者用」と明記された資料です。
具体的には、東広島市・藤沢市・朝来市の3市が公開している「納税義務者用」の通知書の見方の資料です。3市とも、通知書に印字される項目の名前と意味を説明しています。
「特別徴収税額」欄|年税額を確認する
通知書には「特別徴収税額」という欄があります。これが、1年間に納める住民税の合計額(年税額)にあたります。
「特別徴収税額⑨ 市民税・県民税の所得割額と均等割額の合計額 ⑥+⑦」(出典:東広島市「給与所得等に係る市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定通知書(納税義務者用)の見方」)
「特別徴収税額⑨ 所得割額⑥+均等割額⑦」(出典:藤沢市「市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)の見方」)
2市とも、特別徴収税額は「所得割額+均等割額」の合計と説明しています。朝来市の資料でも、同じ「特別徴収税額」という名前の欄が⑧番として使われていました(出典:朝来市「給与所得等に係る市県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」)。
丸数字の番号(⑥⑦⑧⑨)は、自治体ごとの通知書の様式によるもので、あなたの手元の通知書と番号が一致するとは限りません。番号ではなく「特別徴収税額」という欄の名前を目印に探してください。番号がなぜずれるのかは、後の見出し「3つの自治体で確認できたこと」で確認します。
毎月の天引き額(月割額)を確認する
毎月の給与から天引きされる金額(月割額)を確認できる欄もあります。ただし、欄の名前も、そこに書かれている数字の意味も、自治体によって違いました。
藤沢市の通知書には「納付額」という欄があります。 「サ:納付額 毎月の給与から差し引かれる税額を記載しています。特別徴収税額を12か月で月割り計算したものです。」(出典:藤沢市「市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)の見方」)
藤沢市の「納付額」は、この欄の数字自体が、すでに月割り計算済みの、毎月天引きされる額そのものです。
一方、東広島市・朝来市の通知書には「差引納付額」という欄があります。東広島市の資料には、次のように書かれています。
「毎月の給与から差し引かれる税額です。「差引納付額⑨∸⑫-⑩,⑪」を「開始(変更)月から5月までの月数」で割った金額が、毎月給与から差引されます。」(出典:東広島市「給与所得等に係る市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定通知書(納税義務者用)の見方」)
引用中の「∸」という記号は、東広島市の資料にそのとおりに印字されているものです(原文ママ)。当サイト側の入力ミスではありません。
東広島市の「差引納付額」は、その数字自体はまだ毎月の天引き額ではありません。ここから、開始(変更)月から5月までの残り月数で割り算をして、はじめて月割額が分かる構造です。
朝来市の資料にも「差引納付額」という同じ名前の欄がありますが、朝来市の場合はさらに、6月分・7月分・8月分…と、月ごとの金額があらかじめ一覧で示されていました(出典:朝来市「給与所得等に係る市県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」)。
つまり、同じ「差引納付額」という名前の欄でも、割り算をする前の金額なのか、すでに月ごとの内訳が付いているのかは、自治体によって違いました。欄の名前だけで判断せず、その欄に添えられた説明文もあわせて確認することをおすすめします。
「一括徴収」という欄はあるか
ここで正直に書いておきます。今回確認した東広島市・藤沢市・朝来市の3市の資料のどこにも、「一括徴収」という言葉は出てきませんでした。
3市の資料は、いずれも6月から翌年5月までの12回に分けて天引きする、通常の特別徴収の説明でした。退職時にまとめて天引きされる一括徴収の金額を単独で示す欄があるのかどうかは、今回確認した範囲では分かりません。
通知書に「一括徴収」という文字が見当たらなくても、書類に不備があるわけではなさそうです。次の見出しで、代わりにできることを説明します。
欄の意味が分かれば、窓口での確認がしやすくなる
ここまで確認した「特別徴収税額」(年税額にあたる欄)と「差引納付額」(月割額に関わる欄)が何を意味しているかが分かれば、正確な一括徴収額を勤務先や自治体の窓口で確認するときに、話が通じやすくなります。
以前の記事(退職時の住民税「一括徴収」はいくら引かれるのか)で整理したとおり、一括徴収される金額は「住民税の年税額から、退職までに給与天引きされた分(既徴収分)を差し引いた残り」です。考え方としては、「特別徴収税額」から、退職までに天引き済みの月割額の合計を差し引けば、まだ納めていない分のおおよそが見えてきます。
ただし、この記事で確認したとおり、「差引納付額」欄の性質は自治体によって違いました(確認できた範囲では)。すでに月割り済みの額が書かれている自治体もあれば、そこから自分で残り月数を数えて割る必要がある自治体もあります。どちらの形式かを取り違えると、計算のもとになる数字自体を誤ります。
そのため、「だいたいこのくらいです」という金額を、当サイトの側で計算して示すことはしません(記事1本目と同じ方針です)。正確な一括徴収額は、この記事で確認した欄の名前を伝えたうえで、勤務先の給与担当、またはお住まいの市区町村の住民税担当窓口にご確認ください。
3つの自治体で確認できたこと
今回確認した東広島市・藤沢市・朝来市の3市は、いずれも「特別徴収税額」=年税額、「差引納付額」=月割額という、同じ呼び方をしていました。
一方で、欄の丸数字の番号は自治体ごとに違いました。特別徴収税額の番号は、東広島市・藤沢市が⑨、朝来市が⑧です。
この番号のズレは、地方税法と無関係というわけではありません。地方税法第43条は、この通知書を「総務省令で定める様式に準じて作成するものとする」と定めています(出典:地方税法第43条)。つまり、全国共通の基準となる様式は存在し、市区町村はそれに従う義務があります。ただし「準じて」(=完全に同一である必要はなく、目安として沿う)作ることが認められているため、自治体が独自の項目を追加すれば、その分だけ番号が動きます。
実際、総務省が公開している資料(地方税法施行規則第2条が定める参考様式)を確認すると、「特別徴収税額」は⑧番、「差引納付額」の計算式は「(⑧-⑪-⑨,⑩)」となっており、これは朝来市の様式と完全に一致します。東広島市・藤沢市は、この参考様式には無い「森林環境税額」という行を独自に追加しているため、それより後の番号が1つずつ繰り下がり、「特別徴収税額」が⑨番になっていると考えられます(出典:総務省の資料)。
確認したのは3市だけなので、全国すべての市区町村で同じ呼び方をしているとまでは言い切れません。ただ、あなたの手元の通知書でも、まずは「特別徴収税額」「差引納付額」という言葉を探してみることをおすすめします。
通知書が手元に無い・見方が分からないとき
ここまでの内容から、通知書が見当たらない場合や、見方が分からない場合にできることを整理します。
- 退職時に受け取った書類の中に「特別徴収税額決定通知書」がないか、あらためて確認します
- 見当たらない場合は、勤務先の給与担当に発行してもらえるか確認します
- 通知書はあるものの、この記事の欄の名前と表記が違う、または見方が分からない場合は、お住まいの市区町村の住民税担当窓口に問い合わせます
- 一括徴収された金額そのものに疑問がある場合も、同じく給与担当または住民税担当窓口に確認します
次にやること
ここまでの内容から、通知書を手にしたときにする順番を整理します。
- 通知書の中から「特別徴収税額」という欄の名前を探します。番号ではなく名前が目印です
- そこに書かれている額が、あなたの住民税の年税額にあたります
- 毎月の天引き額を知りたいときは、月割額にあたる欄を探します。欄の名前も数字の意味も自治体によって違うので、見つからなければ次へ進みます
- 一括徴収される額は、この通知書だけでは出せません。「特別徴収税額」と「差引納付額」の欄を控えたうえで、勤務先の給与担当か、お住まいの市区町村の住民税担当窓口に確認します
出典(一次資料へのリンク)
- 東広島市「給与所得等に係る市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定通知書(納税義務者用)の見方」|東広島市の案内PDF(2026-08-17 取得)
- 藤沢市「市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)の見方」|藤沢市の案内PDF(2026-08-17 取得)
- 朝来市「給与所得等に係る市県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」|朝来市の案内PDF(2026-08-17 取得)
- 地方税法第43条|e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226(記事1本目と同じ地方税法の条文ページですが、今回は第43条を指しています。2026-08-17 確認)
- 総務省の資料(地方税法施行規則第2条が定める特別徴収税額通知書の参考様式)|総務省の資料PDF(2026-08-17 確認)
- 厚生労働省 東京労働局「失業の認定における求職活動実績となるもの」|東京労働局の案内PDF(2026-08-12 取得。本文末尾の補足リンクで使用)
よくある質問
手元の通知書に「一括徴収」という文字が見当たりません。おかしいですか。
おかしくありません。今回確認した東広島市・藤沢市・朝来市の3市の資料には、いずれも「一括徴収」という言葉自体が出てきませんでした。3市とも、6月から翌年5月までの12回に分けて天引きする通常の通知の説明で、退職時にまとめて天引きする分を示す単独の欄がある形式ではないようです。ご自身の通知書に見当たらなくても、書類の不備とは限りません。
通知書に書かれている丸数字の番号が、この記事の例と違います。
番号は自治体ごとに違います。今回確認した3市でも、「特別徴収税額」の番号は東広島市・藤沢市が⑨、朝来市が⑧でした。地方税法第43条は、この通知書を総務省令で定める様式に「準じて」作成するよう定めており、全国共通の基準となる様式はあるものの、完全に同一である義務まではありません。総務省が公開している参考様式では「特別徴収税額」は⑧番で朝来市と一致し、東広島市・藤沢市は参考様式に無い「森林環境税額」の行を独自に追加しているため、番号が1つ繰り下がっていると考えられます。番号ではなく、「特別徴収税額」「差引納付額」という欄の名前(ラベル)を目印に探してください。
特別徴収税額決定通知書が見当たりません。どうすればいいですか。
勤務先の給与担当に、発行してもらえるか確認してください。会社を通じて配られるのが一般的な書類なので、退職の手続きの中で受け取り忘れている可能性があります。それでも見当たらない場合は、お住まいの市区町村の住民税担当窓口に問い合わせると、金額を教えてもらえます。
住民税以外の手続きも進めている方へ
失業保険の求職活動実績についても、ひとつ補足します。 インターネット等による民間職業紹介事業者・労働者派遣事業者・地方公共団体の行う無料職業紹介事業への単なる登録は、求職活動実績になりません。この点は全国共通の運用基準(厚生労働省の業務取扱要領)にも同じ記載があります。 一方、登録に際して希望条件面等について話し合う場合や、具体的な派遣先・求人の提示があってそれに答える場合など、やり取りがあれば求職活動実績になりますという書き方は、東京労働局の資料にあるものです。沖縄労働局のしおりにも、同じ趣旨の記載があることを確認しました(2026-08-18 確認)。すべての都道府県労働局が同じ書き方をしているかまでは、確認できていません。求職活動実績が何回必要かは、失業保険の求職活動実績は何回必要かで確認しています。
出典:厚生労働省 東京労働局「失業の認定における求職活動実績となるもの」(PDF、2026-08-12 取得)。 求職活動実績として認定するかどうかを判断するのは、民間サービスではなく管轄のハローワークです。ご自身の状況に当てはまるかは、事前に管轄のハローワークにご確認ください。